2 April 1. 2025 vol.47 Seinan Gakuin Junior - Senior High School 総合的な探究の時間が必修科目となって以来、SDGsやユニバーサルデザイン、 国際協力などのテーマのもと、授業を通して様々な探究学習に取り組んできま したが、生徒の活動は授業に留まらず、さらに深化しています。 本校の中学3年次の取り組みである修了レポートを機に歴史研究を継続した 坂本康熙さんは、高校2年生の8月、全国高等学校歴史学フォーラムで能島村上氏 と筑前の関係について発表、論文が機関誌掲載に至りました。坂本さんは「修了 レポートを通して調べたことをまとめ、発表する方法を学びました。好きなことを 追究するのは興味深い活動で、今後も続けます」と話します。 島北陽介さんは授業で始めたスポーツパフォーマンスの研究を継続し、全国 探究コンテストで入賞しました。研究成果をまとめる中で「研究を他者のために も役立てたい」と感じるようになり、関連分野の大学進学を決意しました。大学 入試も課題発見・解決型入試で挑戦し、合格を果たしました。 探究活動は課題解決や社会問題への意識を高め、生徒たちの進路選択に も繋がっているようです。 西南の教育の現在とこれから 総合的探究 ̶ 授業から個人研究、進路選択へ ― 高等学校 サマーチャレンジ ̶ さまざまな生き方に触れる ― 中学校 坂本 康熙さん 島北 陽介さん サマーチャレンジは夏休み 後半の夏季補習期間の午後に 行われる中学2年生を対象と した希望参加の行事です。4~ 8名のグループに分かれて、 さまざまな業種の会社や施設 を訪問します。2022年にはじ まった当初は9団体だった訪 問先も、3年目の2024年は 同窓会の先輩方のご協力も あり12団体になりました。 事前学習では、訪問先に ついて調べることはもちろん、 現地でどのようなことを学びた いのか話し合って整理したり、 学校から訪問先までの移動 手段を調べたりします。また、 熱意をもって働いておられる 方々の現場にお邪魔するに当たっての心構えやビジネスマナーについても学び、 挨拶の言葉を考えるなどして当日に備えます。 現地での学びは、働くということに留まらず、自分はどのような生き方をしながら 社会とつながり、貢献していくのかを考えるいい刺激ときっかけになっています。 訪問後に行われた報告会を真剣な面持ちで聴く1年生の、期待に満ちた眼差しも 印象的でした。 特集 変わりゆく「学び」のカタチ 中高生が同じ教室で「学び」を深めます さまざまなツールを使いながらまとめていきます 高校1年生に対する説明会の様子 「私たちが取り組む内容は次の通りです」「面白い切り口ですが、別の アプローチは考えられませんか」 普段の授業では目にすることがない光景が教室に広がります。高校 1、2年生と中学校3年生が同じ教室に入り、教員が主導するのでは なく、司会から発表まで全て生徒が主体となって行っています。これは 2024年度3月に行われた「総合的な探究の時間」の一幕です。 「総合的な探究の時間」では既存の教科の枠にとらわれず、生徒それ ぞれが自身の興味関心と問題意識を持つ分野に自由に課題を設定し ます。ある生徒はチームを組んで、ある生徒は一人でコツコツと。その取 り組み方もさまざまです。一つだけ共通していることは「探究すること」。 至ってシンプルな目標ですが、その切り口や成果の形は多種多様 ですから、常に試行錯誤することが求められます。通常の教科の授業 であれば、ある種の「答え」というものが決まっており、それを導き出す 能力を身につけることが求められますが、「総合的な探究の時間」では 「答え」のない問いを考える面白さを学びます。しかし、これは同時に困難 も伴います。このままのやり方で良いのだろうか。今進めているプロジェ クトはこの形がベストなのか。もっと他のアプローチがあるのではない か。たとえチームで取り組んでいたとしても、同じ感覚を持つもの同士 が集まっている以上、発想の広がりにも時として限界があります。 そこで“探究marché”と銘打ち、2024年度から取り組みを始めた本 校独自の行事。「marché」とはフランス語で市場を意味する言葉で すが、文字通り活発なやり取りが展開されます。ただ、ここでやり取りさ れるのは野菜や魚などではなく、新鮮なアイデアです。取り組んでいる カテゴリーが異なるもの、年代の異なるもの、さまざまな背景を持つものが 集まり、議論を深めたり、アイデアを共有したりすることで思いもよらなかった 化学反応が起きます。また、その場でポジティブな反応や好意的な評価が 得られるとモチベーションの維持・発展にも繋がります。 「総合的な探究の時間」は混迷を極める現代社会にあって、既存の枠組み では解決が難しい諸問題に対し、専門性の壁を越えて知恵を統合させ、なお かつ主体的に取り組む力を身につけることが目的とされています。そしてこの 時間はそれぞれが力や知恵を身につける=インプットの段階で終えるのでは なく、それらを適切に世に出して いく=アウトプットの段階まで進む ことが求められています。本校で は幅広い年代の生徒が同じ学舎 で学んでいるという長所をいか し、発達段階や理解力が違う生徒 が同じ場所に集う空間をすぐに設 定することができます。多様な背 景を持つ他者に自らの主張を伝え る経験を通して、アウトプットに必 要な諸能力を養うこともできます。 まだまだ発展途上の取り組みで すが、西南学院だからこそできる 取り組みとは何か、私たちにも探究 が求められています。 生徒が作成したスライド。「伝える」ことにも力を入れて取り組みます
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